コワーキングスペース、シェアオフィス、レンタルオフィス。今や働く場所は会社や自宅以外にも目的に応じて様々な場所がある。テレワークの気分転換にそのような場所を利用するのも良い。ただ、“仕事をする場所”と限定はされるが。

このところTSUTAYAを展開しているカルチュア・コンビニエンス・クラブがSHERE LOUNGE(シェアラウンジ)という業態を展開しているのをご存じだろうか? そこはオフィスとしても、カフェとしても、時にはバーとしても使える有料ラウンジ。時間貸しもしくは会員になれば、書棚の本は読み放題。それからフリードリンクとナッツ類まで楽しめるという。

2022年12月、東京メトロ外苑前駅から徒歩1分の場所に、17店舗目のSHERE LOUNGE〈外苑前〉がオープンした。
Ritzwell東京ショールームとRitzwell表参道ショップ&アトリエのちょうど中間。ご近所だから、という訳ではないのだが、Ritzwellの家具が導入されると聞き、オープン準備中の店内で福田さんにお話を伺った。

新しい発想を提供する場所

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
BOOKSTORE Company
デザイン室 室長 福田 正純 氏


「現在TSUTAYAの多くの店舗にRitzwellの家具を置かせていただいています。出会いは11年前の代官山T-SITEがオープンした時です。建築はクライン・ダイサム・アーキテクツの設計で、彼らの選んだ家具の中にRitzwellのものがありました。
私もそこで初めて触れて、使ってみて、良いなと感じました。それ以来、書店やシェアラウンジの出店ごとに導入させてもらってます」。

TSUTAYAと言えば、書店、そしてレンタル事業のチェーン展開の印象が強いが、郊外型ビジネスモデルだったレンタル事業に変わるアイテムとして、現在はシェアラウンジ事業を都市部中心に出店しているという。1号店は渋谷スクランブルスクエア、2019年11月だった。

「当初はシェアラウンジの事業展開の予定はありませんでしたが、思いの外好評で、ここ外苑前で17店舗目です。駅近で書店に併設で始めてみたら需要がある。では書店と切り離して単独店でもいけるか?…いけた(笑)。じゃあ次はオフィスビルやホテルのワンフロアはどうだろう?という感じで、ここ外苑前(D-Lifeplace南青山10F)と同時期に、丸の内ビルディング、それから押上のリッチモンドホテルにも単独シェアラウンジとして出店しました」。

丸の内ビルディングには200坪を超える広さ。リッチモンドホテルではワンフロアに出店。都内がメインだが、名古屋、金沢、新潟、湘南、福岡、台湾にも2店舗ある。シェアラウンジは今後100店舗作る予定だそうだ。

窓からは赤坂方面の景色。眼下のビルの谷間にRitzwell東京ショールームが見えた

「我々は元々書店。それがやっぱり強みなんです。かつてアメリカの郊外型書店のバーンズ・アンド・ノーブルを参考にして、Book&Cafeスタイルを取り入れました。それが2005年以降です。さらに進化したシェアラウンジは、本が読めて、カフェがあり、仕事や勉強も集中してできる。
Book&Cafeスタイルとコワーキングスペースの良いとこ取りなんです。目指したのは“新しい発想を提供する場所”。居心地の良い空間でリラックスして、インスピレーションを享受できる環境です。各店舗のインテリアテイストは代官山蔦屋書店が起点になっているので、什器や家具はそれに準じていますが、街の雰囲気に合わせて若干変えてます」。


それにしても窓からの景色を独り占めできるこの個室は素晴らしい。窓の正面には国立競技場、左手には新宿のビル群も見える。この書斎のような空間をリーズナブルに利用できるなんて、なんと贅沢なことだろう。置いてあるのはRitzwellのMOブリッジ スモールデスクと、クロード・アームチェア。

「店舗設計の時にチームスタッフが“本棚に囲まれて窓辺にデスクが置いてある写真”を見せてくれて、それが元になってこの書斎のような個室のイメージになりました。仏像彫刻のような静謐さを秘めたクロード・アームチェアは他の店舗でも導入していますが、丸みのあるエッジが優しいMOテーブルは、いつか導入したいと思っていましたので、もうここしかない!と(笑)」。

11階からの眺めを独り占めできる個室は5つ。
まるで空へひらく“Studiolo”(伊:ストゥディオーロ=書斎)。
CLAUDE Armchair & MO BRIDGE SMALL DESKが設置されている
天板のエッジに沿って巻き込むように張り込まれた厚革パッドが印象的なMO ブリッジ スモールデスク、クロード・アームチェアが、
同じくダークブランの書棚と呼応するように空間を引き締める


「ここはオフィスビルの11階なので、通りすがりの方はあまり来ないと思います。だからこそ、わざわざ来ていただく方のために、最高に居心地の良い椅子とテーブルで、上質な空間を用意する。そしてぜひお気に入りの場所にしてもらう。だから家具はとても重要なのです。すべての家具をRitzwellで…とはいきませんでしたが(笑)、要所要所にRitzwellの家具をチョイスしています」。

例えば、<丸の内>では働く女性をターゲットにしたコンセプトで、インテリアテイストや並べる本の種類まで変えているという。シェアラウンジの店舗ごとにそのコンセプトに応じて採用する家具も変わるのだ。

さすが“本屋”なセレクトの本が並ぶ書棚。
向こうには窓辺に長いカウンター席

Ritzwellに求めるもの


「書店もシェアラウンジのインテリアも、特に“和”テイストにこだわっている訳ではないですけど、“ジャパンメイド”を中心に選んでいます。侘び寂び。品格のあるもの。主張しすぎないデザイン。それから木の温もりが感じられるクラフト感。長時間座ることもあるので使い心地は最上級のもの。多数のお客様がお使いになられるので、もちろん耐久性は必須です。
それに目の肥えた方や外国人の方々には、海外のメジャーブランドの家具よりもジャパンメイドの方が好まれたりします。そういう理由からもRitzwellの家具がぴったりなんです。それから新店舗には必ず、地元のものを選ぶようにしています。建材からインテリア、アート作品に至るまで地産地消を心がけています。
実は今度、糸島にも書店を出店する計画がありまして、Ritzwellの家具を候補に挙げています。Ritzwell糸島シーサイドファクトリーのご近所ですから(笑)。今度九州チームと家具を選びに伺います」。


図書館や公共施設の委託事業も行うTSUTAYAグループ。レンタルに変わる業態として始まったシェアラウンジ事業だが、カフェ併設書店のアイデアと、コワーキングスペースの合わせ技からさらに進化し、単独業態への発展も遂げた。

クッション材にスモールフェザーが使われ、あたりの柔らかなPLAZA MODULAR SOFA(プラザ・モデュラー・ソファ)。どっしりと腰を落ち着けて、書棚で目に止まった本を読み込んでもいい。渋谷スクランブルスクエアにも採用されている

「書店、図書館はこれからもなくならないと思います。知識やイマジネーションの源である本も。そして本が私たちの中心にあり続けます。ライブラリーで閃きや創作のアイデア、仕事のヒントを見つけ、ワークスペースで自由に過ごしてもらう。そんな空間でクリエイティビティな時間を過ごすことができる場所を、これからも増やしていきたいですね」。

SHERE LOUNGE〈外苑前〉には個室の他にもBOX席や窓辺のカウンター席、会議室などがある。アメニティ、もちろん電源、フリーWi-Fiも完備する。まさに知をシェアし育む場所。
Ritzwellの家具たちも、ここで一役を与えられて光栄というわけだ。
書店の併設カフェだと空席があるとは限らないが、シェアラウンジは専用アプリで予約もできるので安心。全店プレミアムメンバーになって各シェアラウンジを巡るもよし、気軽にドロップインしてもよし。ぜひ一度訪れてみては如何だろうか。


TSUTAYA SHERE LOUNGE〈外苑前〉
〒107- 0062
東京都港区南青山2-26-1
D-LIFEPLACE南青山10階

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