知多半島の南端、南知多町の内海(うつみ)。伊勢湾を望む国定公園にも指定される丘陵地に、静かに佇む『海のしょうげつ』。離れ4棟に客室は10室のみ。全室に伊勢湾を眺望できる露天風呂を備えた宿だ。 

 今回、Ritzwellの家具を長年に渡りご愛用いただいているその理由を、支配人の小坂 章さんに伺った。 

 水平線へと向かう意識 

 「私がこちらへ来て約10年になりますが、毎日眺めていても飽きないんですよ、ここの景色。癒されます。私どもの母体は、下呂観光ホテルグループで、下呂にも同じ“しょうげつ”があります。『海のしょうげつ』は、社長がこの知多半島の出身だった縁で、内海にも宿を開きました。16年目になります」。

 『海のしょうげつ』のコンセプト、“海へ還り、空となる”というフレーズにもある通り、遠く水平線まで視界が広がり、飛び立つように、意識が吸い込まれて行く。どの客室からもだ。  

「昨今は、日常が多忙な方が多いので、自然の景色やこの空間の中で、“何もしない”贅沢なひと時を過ごしていただきたいですね。大人の非日常を楽しむために、お子さまは中学生以上からとさせていただいております。お土産の売店もありませんし、どちらかというとリゾート感のある別荘のような感覚で使っていただきたいです」。 

大きく湾曲したヘッドレストと高いクッション性が生み出す、包み込まれるような座り心地が魅力のイージーチェアBEATRIX。
レッド・ドット・デザイン賞 2019(ドイツ )を受賞 

確かに私も電車で揺られながら、終点の内海駅までの旅程、色んな物が段々と取り払われていく感覚になった。場所柄、名古屋近辺からのお客様が多いそうだが、コロナ禍になってからは地元知多半島のお客様も増えたという。 

「地元のお客様に認知度が増して、すごくたくさん来てくださっているのが嬉しいです。近場にこんなに良いところがあったんですねって。女子グループ旅行や夫婦の記念旅行などの利用も多いです。新名神、伊勢湾岸道路も出来たのでアクセスが良くなり、関東からもいらっしゃるようになりました。関西からも滋賀や奈良、京都からも車だと2時間圏内なので」。 

『海のしょうげつ』を第二の我が家のように利用されるお客様も多いそうだ。お客様の約1/3ほどが再訪されて常連客になられるという。
夕食は目前の伊勢湾で獲れた魚介類を中心に、地元の食材を活かした地産地消の京懐石。
客室とは別の個室ダイニングルームでいただくスタイルだ。 

「ただただ、ゆっくりしてもらえると嬉しいですね。露天風呂や室内から終日海を眺めて過ごすとか。今日は波が高いから漁船が出ていないみたいですけれど、普段は名古屋港との船の往来は多いんですよ。トヨタさんもあるので。今日はほんとに穏やかで、こんな日はめずらしいです(笑)。冬になると伊勢湾の真向こうに夕陽が沈みます。その景色がまた格別なんです」。 

風景と繋がるためのインテリア 

客室はすべて造りが違い、置かれる家具セットも変わる。客室の一部ではRitzwellの古いモデルの家具も大切に使われていた。 
そして昨年、Ritzwell大阪ショールームに奥様とご来店いただいた小坂さんは、『海のしょうげつ』の新たなインテリアイメージにマッチする商品を選ばれた。 

「これまでもRitzwellの家具を使い込んできた訳ですけど、ショールームで再び触れてみて思ったのは、やっぱり斬新な家具だなということです。デザインに普遍的なものを感じるし、寛ぎ感とか美しさを形から感じることができました。それから、メイドインジャパンで揃えたかったという理由もあります。Ritzwellの家具は日本人のDNAに響くスタイリッシュさがあると思うんですよ。うまく言えませんが、Ritzwellは日本の家具だけど、民藝的な無骨さを全く感じさせない。洗練されていて、和でも洋でもスッと空間に馴染む。

『海のしょうげつ』は、建築も素材感がある宿なので、そういう意味でも、木・金属・革・ファブリックをスタイリッシュにまとめた家具が合うと思っていました。既存の残した家具との相性も全然違和感がないのはさすがです」。 

2006~2014年まで販売されていた「スオーノ227 パーソナルチェア(廃番品)」は、背もたれ全体に使われている厚革(ヌメ革)が、年月を経て味わいを増しアメ色に変化していた。

土間の洗い出し、木目のあるコンクリート、温かみのある塗り壁。そう、Ritzwellの家具は、和洋問わず素材感のある建築とのマッチングは得意なところだ。セミオーダーも可能なので、色やマテリアルの組み合わせでオリジナリティも出しやすい。 

「お客様にも“ずっと座っていたい”なんてことをよく言われます。座っているとウトウトして気持ちよくて寝ちゃったとか(笑)。あとは、そう肌触り。良い家具は座った瞬間に実感できる、みたいなことをおっしゃっていたお客様もいらっしゃいました」。 

海といえば、Ritzwellの糸島ファクトリーも玄界灘の浜辺の近くにあり、職人たちは日々波音のBGMで家具を製作している。その家具たちが、ここでは少し標高を上げて水平線に向かい合っている。 
「うたた寝するために来ている」というお客様もいるほど、リラクゼーション効果のある客室インテリア。その一端をRitzwellの家具たちが担っていると思うと、微笑ましくもあり、そして誇らしい。 
支配人の信頼を得、水平線を眺めるRitzwellの家具たちも、きっとおもてなしのスタッフの一員になっている気がしていることだろう。 

『海のしょうげつ』のコンセプトから引用すれば、 
“旅は心の休息。豊かな人生の句読点。” 
“ただ居るという贅沢。自然がそこに在るように、自分もそこに在ることを知る時間。” 
すべての客室に双眼鏡が備えてあるのは、心身を“空”にし、水平線の向こうを覗くためだ。それが自分の存在を知ることと同義なのだとすれば、Ritzwellの家具たちは、その時間を一切邪魔はしない。 

家具たちよ、、もうひとつの句読点であれ。 

海のしょうげつ

〒470-3321
愛知県知多郡南知多町内海前山80
tel: 0569-62-3960

海のしょうげつofficial site

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